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脂肪注入による豊胸術の術後評価と問題点

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「脂肪注入による豊胸術の術後評価と問題点」

第25回日本美容外科学会総会 / 2002年10月 / 高松院 院長 古屋富治雄

はじめに

美容外科の外来で、豊胸術を強く希望し、生理食塩水バックやシリコンバックといった異物を入れるのにはどうしても抵抗があるため脂肪注入を希望する患者は多い。豊胸術のうち脂肪注入は、柔らかさや外観上の自然な仕上がりという点において優れた術式である。一方、充分な胸の大きさが得られるのかという疑問、また腫瘤を残す可能性があることを考慮すると本術式の是非は問われる。

目的

(○1)術後乳房はどの程度大きくなるのか調べること(○2)注入した脂肪の局在と性状および癌との鑑別を検討することを目的とした。

方法

脂肪注入という術式の利点および欠点を充分説明し、インフォームドコンセントが得られた患者に対してのみ脂肪注入を行った。注入カテラン針を用い、注入量は注入直後のマッサージでやわらかさが残る程度を目安とした。胸の大きさの変化は、最も適したブラジャーのサイズで評価した。注入した脂肪の局在とその性状は、CTにて評価を行った。いずれも術後3ヶ月の段階で術前と比較検討した。

結果

プロテーゼと比べ、柔らかく自然な胸という点においては患者全員が満足し、術者自身も、豊胸術を受けたと推定することが困難な程であった。大きさはブラジャーで平均1カップ、最大で2カップまで大きくなった。触診上腫瘤を触れる症例はなかった。CTでの画面上、注入した脂肪は主として乳腺下に均一なlow densityとして認められ、総合的に乳癌を強く疑わせる所見は得られなかった。

結語

脂肪注入による豊胸術は、柔らかさや外観、そしてブラジャーで1サイズを望むのであれば大きさの点でも優れた方法ではある。今回腫瘤を生じた症例はなかったが、今後の経過の中で嚢胞を形成する可能性を考慮すれば、長期にわたる慎重な経過観察は必要であり、特に癌との鑑別には注意を要する。

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