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フェイスリフトに対する新しい考え方 -SMAS,Retaining ligamentの利用法-

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「フェイスリフトに対する新しい考え方 −SMAS,Retainingligamentの利用法−」

第48回日本形成外科学会総会 / 2005年4月 / 東京院 院長 広比利次

目的

東洋人における特徴的な顔面形態として骨格的には頬骨・下顎骨の張り出しが強く、更には皮膚・皮下軟部組織が厚くて重い。このことが西洋人と比してフェイ スリフト手術を一層難しいものとしている。一方、本邦においてはLimited SMAS, conventional SMASが美容・形成外科医の間に広く普及しているが、これら術式はjowl改善を目的としたものであり、一般患者にとってもっとも改善要望の強い鼻唇 溝、マリオネットラインに対してはその効果が及ばない。この矛盾に対してSMAS, Retaining ligamentの解剖学的特徴と東洋人の顔面形態の特徴を複合的に考慮し、鼻唇溝等にも効果の及ぶ術式を考案したため、文献的考察を含め報告する。

方法

外・側方への張り出しの強い頬骨体部‐弓部の移行部から咬筋前縁にかけて、この部位をtransition lineとし、頬部を2つのzoneに分類する。この部位は解剖的に鍵となるRetaining ligamentが集中して存在する部位でもある。medial zoneではSMAS plication, ligamentを利用した皮弁引き上げ固定を行う。lateral zoneにおいてはjowl改善を目的としたLimited SMASを行う。

結果

この術式はjowlのみならず、鼻唇溝、マリオネットラインの改善が認められる。一方、皮下剥離範囲が広い為、腫れが遷延する傾向がある。 ligament縫合、固定の際に生ずるdimpleは通常1ヶ月以内には消失する。

考察

フェイスリフトは、その剥離の層、範囲、SMASの処理など諸家によりさまざまな報告がみられる。演者も600例を超えるフェイスリフト手術の経験の中 で、さまざまな術式の改良を行ってきたが、本法は “安全と効果のバランス”を考えた際には非常に優れた術式であると考える。

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